日建協加盟組合 2025年度 会社訪問 ~企業経営者・幹部に聞きました~

日建協では、毎年9月から11月にかけて加盟組合企業を訪問し、日建協活動への理解や時短推進活動への協力を求めるとともに、建設産業が抱えるさまざまな課題について企業経営者と意見交換を実施しています。今年度は以下の3つのテーマと2024年11月及び2025年6月時短アンケートの結果をもとに、それぞれの企業が抱える課題や施策について意見交換を行ないました。その中から、主な取り組みや企業経営者・幹部の意見を紹介します。1.担い手確保の取組について

① 新卒採用関連


*新卒採用は苦戦している。採用担当者を大幅に増員して学生に説明する機会を増やしている。
*若手リクルーター制度の導入や高卒採用を再開、給与等の待遇改善をおこなった。
*知名度を上げるため、SNS広告やダイレクトリクルーティング(※1)、大学とのネーミングライツ(※2)などを取り組んでいる。

② キャリア採用関連


*キャリア採用にも力を入れるべく、リファラル採用(※3)を導入した。また、アルムナイ採用(※4)の導入も検討中である。
*中途採用は技術系の職種を中心に行っている。また、再雇用するジョブリターン制度により早期にパフォーマンスの発揮が期待できる社員の採用も積極的に行っている。
*昨年度のキャリア採用では50名の実績があるが、まだまだ施工管理者が足りていない。

③ 外国籍従業員採用関連


*外国籍従業員は高校生のときから来日しているので日常会話は問題ないが、専門用語や協力会社との会話で苦労している。
*社内の昇格要件に、技術士の取得が必須となっているものもあるが、外国籍従業員にはハードルが高いので外国の資格(プロフェッショナル・エンジニア)を新たに追加した。
*外国籍従業員はお互いの給与水準をすべて共有しており、評価・待遇の差には非常に敏感である。そのため年2回のテストを行うなど客観的な査定方法が重要である。
*外国籍従業員を専門に採用と教育に特化した海外技術者支援室を立ち上げた。現在、60名の外国人技術者が入社し、研修を受けている。

④ 離職防止対策関連


*若手の離職防止などを目的としたメンター制度を導入した。
*初任給の大幅増などで新卒者だけを優遇するような形は避け、中間層の処遇とのバランスを取っていく。
*同じ作業所になった先輩社員が後輩社員のケアをしたり、異動後も何かと気に掛けて相談に乗ったりするなど、つながりを持ち続けるような人間関係の構築は自然とできている。
*離職防止については、メンタル不調への対応を強化。休職などに至らないよう、予防・早期対応が大事と考える。医療スタッフとの連携や保健師面談といった体制と連携し、懸念がある社員については上長とすぐに対応できるよう支援を続ける。

2.労働環境の改善について

① 時間外労働の上限規制関連


*45時間、60時間、80時間と段階的なアラート体制をしっかり整え、社内関係者に対して見える化を実施している。
*会社としてマンションの内覧会などにおいてアウトソーシングの活用、デキスパートなどのDX推進、外勤者を支援する部門の設置により残業時間の削減につながった。
*各支店で小町の会を開催しており、女性特有の悩みや意見などを聞いている。小町の会では、外勤女性社員に対する現場整備は年々良くなっているが、「働きがい」ではなく「働きごこち」という考え方にシフトしてきている。
*発注者のパートナー企業として、“工程の前を空けて発注”という裁量の高い発注を許容して貰い、工程的な厳しさの緩和につなげ、労働環境の改善を図っている。

② 熱中症対策関連(義務化による影響


*もともと熱中症対策の体制を整えていたため、義務化による影響は特に感じていない。
*熱中症対策が義務化されたことにより、これまで言いづらかった雰囲気であったのが、過酷な労働環境も我慢せずに済むようになったことが大きい。
*熱中症対策として、一定規模以上の現場で看護師を常駐させる取組を試行している。
*熱中症義務化による諸費用について、発注者に一部を負担して頂いている。

3.建設産業の魅力発信とエンゲージメント向上について

*社員のエンゲージメント結果により、役員の評価が左右される制度を採用している。
*売上を上げて利益を最大化し、働いている方々へ給与、賃金という形で還元することを第1に考えている。
*社員のエンゲージメント向上を目指して、上司部下間の1on1の対話や社長が各支社で社員と対話を実施、課題の抽出、早期解決を図っている。
*40代職員の処遇の改善が必要だと考えている。新入社員の給与が上がってきているので賃金バランスをとる必要がある。
*会社とは直接関係しない人々に向けても「建設業の魅力」を一生懸命語り続けることが自分たちの仕事であると思っている。

会社訪問を終えて

各企業の経営者が、担い手の確保や離職防止対策、時間外労働の上限規制への対応、さらには猛暑日における熱中症対策などに苦労しつつも、新卒・キャリア・外国籍人材の採用や定着、労働環境の改善、社員のエンゲージメントやモチベーション向上にむけて、真摯に取り組んでいる様子がうかがえました。
日建協では、会社訪問で得られた貴重な意見を参考にして、「誰もがいつまでも働ける
誰からも誇りに思われる産業」をめざして引き続き活動していきます。