日建協加盟組合の企業経営者に考えを伺いました !

日建協では、毎年加盟組合企業を訪問し、産業政策活動への理解や時短推進活動への協力を求めるとともに、建設産業が抱える様々な課題について企業経営者と意見交換を実施しています。今年度いただいた企業経営者の主な意見をご紹介します。

政策提言活動

※ 政策提言活動の詳細は、http://nikkenkyo.jp/archives9888 をご覧ください。

 

◆ 昨年度は4週8休の実現にむけ提言を行った。昨今、国交省や建設関連団体は4週8閉所にむけ急激に動きだしているが、どう感じているか。また取り組み状況をお聞かせ願いたい。

 

(経営者からの主な意見)
⇒ 4週8休にむけ動きだしたと思ったら、世の中の方向が4週8閉所へと変わり、動きも一気に速くなった。時間外労働の上限規制が適用される前に、何としても時短を進め4週8閉所ができる環境を整えないといけない。

 

⇒ 日建連が主導する4週8閉所や労働時間短縮にむけた施策について真摯に対応していく。

 

⇒ 職員や技能労働者に過重労働を強いる工期のダンピングをやめ、各社が足並みを揃えて産業全体で取り組まなければいけない。

 

⇒ 発注者、元請、協力業者の3者がそれぞれに工期、コスト、賃金などの課題を解決して4週8閉所の実現をめざしていかなければならない。

 

⇒ いきなり4週8閉所の実現は難しいので、まずは4週6閉所から取り組もうとしている。工程表も原則4週6閉所で書かせている。

 

⇒ 4週8閉所にむけて委員会を立ち上げ、日建連の動きに遅れることがないように対応している。

 

⇒ 4週8閉所を実現した場合、人件費などコストが増加するが、増加した全てのコストを生産性の向上で補うの無理である。ある程度のコストは会社が負担することを考えないといけない。

 

(経営者からの主な意見)
⇒ 4週8閉所にむけた世の中の流れに乗り遅れることがないようにしたい。

 

⇒ 4週6閉所を実施するために、書類の削減など改善できることから一つずつ取り組んだ。4週8閉所を実現するにはさらに物理的な改善や職員の意識改革、発注者の理解、生産性の向上が必要である。

 

◆ 時短や4週8閉所に対し民間発注者の理解は進んでいるか。

 

(経営者からの主な意見)
⇒ 民間発注者には、長時間労働は安全性の確保においても問題があると説明し、時短に理解を得ている。

 

⇒ 発注者は 「工期さえ守ってくれるのであれば、時短や4週8閉所をしてもらって構いません。効率化して自由に休んでください」 という考えである。

 

⇒ 4週8閉所にするとコストや工期に影響するので、民間発注者に理解してもらわないといけない。最終的には、発注者だけではなく消費者にも影響するので、少しずつでも社会に理解を求めていかないといけない。

 

⇒ 少しずつではあるが民間発注者も工期について聞く耳を持つようになった。私たちも物件毎に適正な工期を検討し、発注者へ伝え妥当な工期を協議したうえで契約している。異常な工期の工事は受注を回避している。

産業の理解促進にむけた活動

※ 女性技術者会議の詳細は http://nikkenkyo.jp/archives/8873、日建協出前講座の詳細は http://nikkenkyo.jp/archives/8855 をご覧ください
女性技術者のロールモデルの記事は、http://nikkenkyo.jp/archives/8579 をご覧ください。

 

◆ 誰にとっても働きやすい産業をめざし、女性技術者会議や女性技術者のロールモデルの記事を紹介した。女性活躍推進の問題点や取り組み状況をお聞かせ願いたい。

 

(経営者からの主な意見)
⇒ 結婚や出産しても働き続けられる当たり前の環境を整えるのが私たち経営者の責務である。

 

⇒ 建設産業には男社会や女性が働きにくいイメージがある。かなり改善が進んでいるが、リケジョ (理系女子) には理解されていないと感じている。ゼネコンで働く女性技術者の現状や作業所の労働環境などを正しく伝えることで、就職先として誰にでも選んでもらえる産業にしていきたい。

 

 

◆ 次世代を担う多くの学生たちに建設産業の魅力を伝えるため、出前講座を実施している。ご意見やアドバイスをいただきたい。

 

(経営者からの主な意見)
⇒ ゼネコンは設計図通り造るだけではないクリエイティブな仕事だと伝える必要がある。

 

⇒ もっと出前講座を行っていただき、建設産業の魅力や、やりがいを次世代の方たちに伝えてほしい。

 

⇒ 建設産業に対し悪いイメージを持たれている。私たちは社会を支えるインフラを作っているとアピールすることが重要である。

 

時短推進活動

※ 時短推進活動は、http://nikkenkyo.jp/archives/9371 および2016時短アンケートの概要 (http://nikkenkyo.jp/downL/jitan_digest/2016jitan_digest.pdf) をご覧ください。

 

◆ 外勤技術系の所定外労働時間はいまだに月70時間を超えており、長時間労働が常態化している。時短にむけた取り組みやご意見をお聞かせ願いたい。

 

(経営者からの主な意見)
⇒ トップダウンで時短に取り組んでいる。職員にも所定外労働時間を減らそうという意識が高まってきており、労働時間の削減や土曜閉所が進んできている。

 

⇒長時間労働になる要因は、古い体質や生産性、工期設定など様々ある。一度に全てを解決するのは難しいので少しずつ改善していく。

 

⇒ 今まで時間に制約が無かったため、仕事が終わらなければ残業して終わらせればよいと考える職員が多かった。こういった意識を変えないと時短にはつながらない

 

⇒ 所定外労働時間を削減し残業代が減った分、賃金を上げるには生産性を向上しないと経済的に企業は続かない。働き方改革と同時に生産性の向上に取り組まないといけない。

 

⇒ 時短にむけて、職員のスケジュールを可視化して業務の効率化を進めている。職員の休暇予定も出させ、計画的に休みを取得するように指導している。

 

⇒ 世の中が働き方改革にむけて急激に変化しているので、時短にむけた動きと現実とにギャップがでる。これをフォローアップしていかないと「働き方改革=時短ハラスメント」となりかねない。

 

◆ 6月の統一土曜閉所運動の閉所率は76.1%と2年連続して過去最高を記録した。土曜日が当たり前に休める産業とするために、引き続きご協力願いたい。

 

(経営者からの主な意見)
⇒ トップダウンで取り組んでからは閉所率が上がっている。閉所が難しい場合には理由を確認し対策を練るなど、支店ぐるみで対応している。

 

⇒ 日建連が毎月の土曜閉所運動に取り組みはじめたので、日建協をはじめ労働組合は新たなステージへむかわないといけない。

 

◆ 年次有給休暇の取得日数は平均4.4日と低迷したままであり、多くの組合員は取得に「ためらい」を感じている。ご意見を伺いたい。

 

(経営者からの主な意見)
⇒ 気にせず休めばよい。「仕事が気になる」 とか 「迷惑がかかる」 という意識を変えていかないといけない。

 

⇒ 業務を個人に任せきりにせず、組織としての運営に変えないと取得は進まない。

 

⇒ 最低5日間取得させようと有給休暇取得の奨励日や指定日を設けている。

 

◆ 建設産業に魅力を感じる組合員の割合は6割にまで回復したものの多くの組合員は、長時間労働や前近代的体質などを理由に魅力を感じていない。ご意見を伺いたい。

(経営者からの主な意見)
個人に任せられる仕事の幅が広いのが建設産業の魅力であるが、労働時間が長いことや休みが取りづらくなることと相反するので悩ましい。

 

⇒ 建築物を創造する喜びやいろいろな人に出会えることが建設産業の魅力であると意識してもらえるようにしている。

 

会社訪問を終えて

働き方改革にともなう時間外労働の削減や4週8閉所の実現にむけて、真摯に取り組む企業経営者の姿勢を実感することができました。日建協では、会社訪問を通じて得られた貴重なご意見を参考とし、長時間労働の解消や4週8閉所の実現をはじめとする労働環境の改善にむけたさまざまな活動を充実させていきます。新たな建設産業の創造にむけて、一緒に取り組んでいきましょう。

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