みなさんの会社におじゃましま~す  2016年度 日建協加盟組合会社訪問

811-12-13_1日建協では、毎年9月から11月にかけて加盟組合企業を訪問し、産業政策活動への理解や時短推進活動への協力を求めるとともに、産業が抱える様々な課題について企業経営者への提言と意見交換を実施しています。企業経営者の方の主な意見を紹介します。

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811-12-13_2b会社訪問では90分の時間で、時短、提言、魅力化の3つのテーマを中心に意見交換をしています。それぞれのテーマの主なポイントは以下の通りです。

 

(1) 時短推進活動
① 2015年時短アンケートで私たち組合員の労働環境の現状、生活実態・意識を伝えました。

→ 建設産業に魅力を感じる割合は約50%で近年伸び悩みを見せている。
→ 平均所定外労働時間は全体約60時間、外勤約80時間。外勤は土・祝日は11月の6日間のうち、およそ3日間しか休めていない。

② 2016年6月の統一土曜閉所運動の結果を報告し、11月の閉所運動への協力要請を行いました。

→ 6月の閉所率は過去最高の約70% (読み替え含む)。土木72.3%、建築68.5%。
→ 国交省工事も過去最高の74.4%。閉所率が大幅に向上した加盟組合もあった。

(2) 政策提言活動
① 2015年の提言内容と国交省本省、地方整備局、業界団体、発注者団体の意見の一部を紹介しました。
② 2016年の提言方針の説明と個社独自の4週8休モデル作業所設置等をお願いしました。

(3) 産業の魅力化 (女性活躍・次世代)
① 女性技術者会議の内容を紹介しました。

(詳しくはCompass 9月号vol.810をご覧ください)

→ 2015年女性技術者会議を紹介。マンダラチャートを用いた 「作業所環境の改善」 に関する意見の紹介
→ 2016年の会議では男性技術者との課題の議論や意見交換を行うことの紹介。

② 出前講座の内容を紹介しました。

(詳しくはCompass 3月号vol.809をご覧ください)
→ 5大学、1機関での出前講座の内容、アンケート結果などの紹介。

 

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2015年時短アンケートについて

◆ 時間外労働が100時間を超えることはあってはならないと思うし、非常に残念だ。社員のモチベーションを下げる原因は、長時間労働だと思っているので、時短へ向けてさらに取り組まないといけないと思う。
◆ 本気で過重労働に対しては対策を行っている。各支店長の責任の下、職員の所定外労働時間の表を作成させて、長時間労働を行っている者に対して直接指導するようにさせている。
◆ 職員が倒れるような事態になってしまうのは、本人にとっても、会社にとっても何もいいことはない。
◆ 土曜閉所は会社側の問題と捉えており、トップが強い意識をもって実施している。時短は会社だけではできない部分がある。組合員も意識を変えて 「つきあい残業」 などは無くさなければいけない
811-12-13_3b◆ 労働時間、賃金について、今の処遇を上げることもさることながら、将来処遇が上がっていくという期待感が大事だ。労働組合には、建設産業が将来良くなっていくというアピールも期待している。

 

日建協統一土曜閉所について

◆ 土曜閉所は土曜日を1日休むのが目的なのではなく、土曜休んで他の平日にプラスされる仕事を減らすために何をするかが大切。他業種から見れば土曜日1日だけしか休めていないといったら笑われるかもしれないが、1日でもできたら次につながる。とりあえず目の前のことをやっていこう。
◆ 「統一」 というのはきっかけに過ぎない。これを加速させたい。
◆ 取り組みにむけては職制を通じて文書を出すだけではなく、閉所できない作業所については理由をヒアリングしている。やむを得ない状況を除きすべて閉所するよう徹底している。
◆ 年に2回だけなのだから100%にならなくてはならない。少なくとも90%以上であるべきだ。
◆ 土曜閉所も発注者や協力業者の関係もある。理解してもらうためには作業所だけに任せるのではなく、会社の後押しが必要である。

 

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4週8休にむけた動きに関して

◆ 技能労働者の問題を避けて通ることはできない。月1日の閉所であれば協力も得られるであろうが、土曜日が全く働けないと技能労働者は離れていってしまう。
◆ 元請職員が交代で休む4週6休ではなく、4週6閉所を推進していくべきだ。そのためには、足並みをそろえて取り組むべきだ
◆ 休みを取ることを目標に仕事の棚卸しをするように現場に指示をしたが、これといった劇的な方法はないのが現実である。
◆ 罰則規定をもうけて法律で規制するくらい徹底しないと変わらないのではないか。4週8休の推進については、工期が延びる分の工事費の増額と合わせて主張して欲しい。

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民間工事への波及について

◆ 適正工期算定プログラムだと工程が全般的に延びるようであり、なかなか難しいと感じている。ただ、ある程度の基準ができたことは良いと思う。これからさらにいろんな作業を盛り込んだ形で汎用的なシステムになってくれれば非常にありがたい。
◆ 建築工事ではリスクの明確化など日建連でも民間に波及させようということで動いている。特に民間については、国などの後押しがないと前へ進めないので、今は良い環境であると考えている
◆ 適正工期については発注者の理解が深まってきたと思っている。首都圏では突貫現場がなくなってきたことで手直しが減少した。4週8休とはいかないが、工程を書くうえで土日祝日を1回でも多く休めるよう考えて作成している。

※  提言内容については   こちら   でご紹介しています。

 

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811-12-13_5b◆ 女性の意見を取り上げるだけでなく、周囲の男性職員の理解や協調が必要で、イクボスに軸足を置いて考えている。様々な働き方を考える時期に来ているのではないか。誰もが働ける方向に活動していったほうが良い。
◆ 女性については 「けんせつ小町」 などと言っている時点で他産業に大きく遅れている。男性であろうが、女性であろうが、会社に貢献できるのが良い社員だ。この当たり前のことが当たり前になる産業にしていかなければならない。
◆ 女性技術者にも色々な事を経験してほしい。器機の軽量化などの工夫も必要である。また、母性保護などの所長教育が必要とも考えている。
◆ 女性技術者の数がある程度増えてくれば安定していくと思うが、そこまでが大変だと思っている。制度整備だけでなく運用強化もをしていかなければいけない。

 

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811-12-13_6b◆ 企業としては、企業選択にむけた活動はしているが、職業選択のための活動はしていないので、若年層を対象とした活動はとてもありがたい
◆ 我々の仕事は感謝される仕事であるということを、次世代の方たちに伝えたい。
◆ 現場を見てもらうのが一番であると考えている。当社もインターンシップなどを通じて、学生に現場を知ってもらうようにしている。建設会社にも女性が働ける場所はあると思うので期待している。
◆ 業界のことを正しく理解しないまま入社する社員が多いので、大学生たちへ正確な情報を伝えていってほしい。会社としても、業界としてももっと発信していかなければいけないと思う。

 

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昨年度と比べ、企業経営者の方のコメントに変化がみられました。これまでは労働環境改善の必要性を感じながらも、現実的には難しいと考えている方が多くみられました。しかし、今年度の訪問では、どの企業も労働環境の改善や担い手確保をより身近な問題として捉え、危機感を持って時短や過重労働への対策を講じているといったコメントもありました。
また、作業所における4週8休についても、4週5休、6休とステップを踏んで確実に進めていこうというご意見を多くいただきました。社会的要請の高まりや外部環境の変化を背景に、労使で一体となって労働環境を変えていこうという意識が伺えました。日建協では会社訪問でいただいた意見を活動に活かし、引き続き、産業をあげた労使一体での労働環境改善に取り組んでいきたいと思います。

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