議長メッセージ第6回 いつまでも星空が見えるように

いつまでも星空が見えるように

新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、私たちの社会経済活動が制約を受けています。しかし、ちょっと目線を変えてみると、活動の制限によって大気汚染が抑制され、皮肉にも空がきれいになっているようです。

昨年、コロナ感染症の発生前後を比較した中国の大気汚染状況(別図)に、私は衝撃を受けました。これまでガスなどで覆われていた都市部の空気が澄んでいるのがよく分かります。ロックダウンしていた昨年春、大気汚染されていた中国の都市部や工場地帯では、「星空が見えるようになった」と、夜散歩する人が増えたとか。こうした事例が世界各地で報告されるようになりました。

大気汚染が減ったのは、ロックダウンにより排気ガスや工場排煙など有害ガスの濃度が低下したことが大きな要因。経済活動が縮小しているということは、CO2の排出量も減少すると言われています。

一日も早い緊急事態宣言の解除、そして感染症の終息は、切なる願いです。
そのうえでの話ですが、ある意味で、コロナ禍が現在の環境問題の深刻さを露呈したとも言えます。コロナ終息後の新たな状況のもと、経済活動と環境保護とのバランスをいかに保つのか、という視点は、今を生きる私たちにとって、重要なテーマの一つです。とりわけ持続可能な開発目標(SDGs)の達成にむけて、世界が一体で取り組む必要があります。

各企業においても、CSR(※1)活動によってSDGsが広がっています。労働組合に対しては、「USR(※2)活動」と言われ、社会対話の担い手としてSDGs達成への貢献が期待されています。

日建協では、直面する危機的な問題に対して、社会貢献活動への意識を高める必要があると考え、2021年1月号の機関誌Compassで、「SDGs」を特集しました。
はやりものだからやる、という類いのものではありません。静かに、確実にやってくる危機を克服するために、そして、安心安全な環境を将来世代に受け継いでいくために、私たち一人ひとりが問題をしっかりと捉え、意識と行動を変えていくことが必要と考えてスタートしました。

まずは「SDGsを知る」ことから、そして身の回りのできることから、はじめていきましょう。

※1 CSR:Corporate Social Responsibility 企業の社会的責任
※2 USR:Union Social Responsibility 労働組合の社会的責任

機関誌Compass 2021年1月号「日建協×SDGs・・・SDGsを知ろう!」
http://www.nikkenkyo.jp/activity/14065/