青山議長メッセージ第3回 2026年賃金交渉を迎えるにあたって
世界経済は、トランプ関税による影響の顕在化が予想されるなかで、各国のトランプ関税への対応やAI 需要の拡大が下支えとなり、底堅い成長を維持しています。各国の貿易構造の変化などにより、関税コストの負担は従来想定よりも低水準にとどまるとみられ、関税の引き上げや高い不確実性を踏まえ、各国で投資や政策対応が進みつつあります。
日本経済は、海外経済が緩やかな成長を続けるもとで、緩和的な金融環境を背景に、緩やかな回復基調を維持しているとみられます。先行きについては、関税影響の顕現化により輸出は伸び悩むものの、内需の底堅さに支えられ、1%近傍のプラス成長が続くと想定されます。企業収益は、関税の下押し影響を考慮しても、既往の原油価格下落に伴う交易条件改善や利益率向上などから高水準を維持すると予想されます。賃金は、強い人手不足を背景に高い伸び率が維持されるとみられ、個人消費は緩やかに回復しつつあります。設備投資は、供給網強靱化やDX、GX などの投資を中心に拡大基調を維持することが見込まれます。
建設産業に目を向けると、2025 年度上期の売上は前年同時期と比較すると増収が目立ちました。資材価格や労務費の高止まりで利益確保が難しい状況があるものの、工事採算の改善や選別受注により営業利益が増益となる企業もでてきています。また、民間発注者のコスト上昇及び上昇分の価格転嫁への理解も徐々に進んでいます。先行きについては今後も手持ち工事の入れ替わりや受注時採算の改善により回復基調に入る見通しですが、資機材の高止まりや人手不足、時間外労働上限規制の影響などを考慮した施工体制の確保に配慮していくことがポイントになると思われます。
日建協加盟組合の2025 年賃金交渉においては、月例賃金で30 の加盟組合がベースアップを獲得し、一時金については25 組合で水準の向上がみられ、2 組合は前年同水準、3 組合が前年比減額となり、業績に応じて明暗が分かれる結果となりました。初任給については、大手ゼネコンの初任給引き上げを皮切りに多くの加盟組合で引き上げが行われました。
2026 年の賃金交渉は、昨年から継続する賃上げ機運下での交渉となりますが、それ故に物価高による実質賃金の低下を克服出来るベースアップを獲得出来なかった場合は相対的な魅力度低下、延いては人材獲得への悪影響も懸念されます。そうした意味において、厳しい交渉になることが予想されますが、「あるべき賃金水準」に向けて賃金水準の維持または向上を目指すだけでなく、働き方改革の実現に向け、組合員一人ひとりが高い意識で取り組んでいく必要があります。産業の魅力化や担い手不足などの課題の解決へ向けた取り組みの前提となる賃金制度は「安心して働き続けられる産業」への重要な足がかりでもあります。ともに力を合わせて2026 年賃金交渉に取り組んでいきましょう。
