BWI第5回世界大会に参加しました

日建協では、海外における建設事情や労働環境についての情報収集・意見発信を行うため、2006年からBWIの活動に参加しています。今回は、スペインの首都マドリードで開催された第5回世界大会の様子についてご紹介します。


世界大会の概要

世界大会は4年に1度開催しており、前回の第4回大会は、2017年に南アフリカ共和国のダーバンで開催、2021年はコロナ禍の影響で開催中止となり、今回の世界大会は2022年10月にマドリードで開催されました。世界各国から約750名が参加し、ジェンダー平等を重視する組織方針もあり、女性の参加者が全体の31%を占めました。

BWIとは?
建設・木材・林業関連の労働者の権利保護を目的とする国際的な産業別労働組合組織です。日建協が加盟しているBWI-JACは、アジア太平洋地域の各国加盟組織と連帯し、労働者の処遇や安全衛生面の改善に取り組んでいます。

BWI(Building and Woodworks International)
名  称:国際建設林業労働組合連盟
組合員数:約1,200万人(117ヶ国360組織)※2022年10月現在
BWI-JAC(BWI-Japanese Affiliates Council)
名  称:BWI日本加盟組合協議会
加盟組合:日建協、森林労連、UAゼンセン、全建総連

 

大会では2日間にわたり、以下の内容に関連する40件以上にもおよぶ決議案や、BWIの行動計画にあたる「戦略アジェンダ」についての討議が行われました。

会議で討議された主なテーマ
● 気候変動
● 移民労働者
● 児童労働者
● ジェンダー平等
● 連帯への取り組み
● 多国籍企業、国際金融機関について

BWIの戦略アジェンダ
① 気候の公平性(Climate Justice)
② 労働組合の構築「包括的労働組合」
③ 安全で健康な労働者の確保
④ 労働者の権利のグローバル化
⑤ 仕事の公正な未来「平等な未来」

 


近年労働者の権利保護に深刻な影響を与えている諸問題について、ゲストスピーカーによる講演やパネルディスカッションも行われ、活発な議論が交わされました。

■ カタールW杯開催に伴う移民労働者の問題について

サッカーのカタールW杯開催にあたり、スタジアムなど関連施設の建設に多くの移民労働者が従事していたが、深刻な人権侵害や賃金未払い等の事例が多発し、また過酷な労働環境により6,000人以上の労働者が死亡したとの報道もある。
BWIは何千人もの移民労働者の労働環境改善や最低賃金確保に貢献してきており、大会終了後も尽力していく必要がある。

■ BWI関連産業における気候変動危機の影響

気候変動に起因する自然災害の増加や化石燃料の価格高騰は、特に低所得の労働者や途上国、島しょ国の人々に重大な影響を与えている。森林業や建設業は、CO2 の排出削減努力をはじめ、地球環境保護に対する大きな責任を担っており、気候変動対策を最重要課題として取り組む必要がある。

■ 民主主義と労働組合の権利について

ミャンマーや香港では政府が労働組合を不当に弾圧したり、労働者を拘束するなどの事態が発生している。またウクライナでは15,000人以上の建設労働者が十分な権利を保障されないまま、復興のため動員された。
こうした国々で、民主的な環境下で労働組合が自由に権利を行使できるよう支援していく必要がある。


世界大会への参加をつうじて、世界の建設労働者を取り巻く現状やさまざまな問題について触れ、労働者の労働環境や権利を守るためには、気候変動やジェンダー平等など、多角的な視点をもって取り組む必要があることを再認識しました。日建協では、加盟組合企業の海外への事業拡大や国内における外国人労働者が増加する現状をふまえ、引き続き国内外の労働環境などの情報収集やBWIとの積極的な連携をはかります。