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わたしたちの賃金を考える上で、生計費が重要であることは、ご説明したとおりです。そして、日々の生計費については、家計調査などから算出されることもご理解いただけたと思います。
しかし、生計費の中で忘れていけないものがもうひとつあります。それは、結婚、子どもの出生、持家購入などのイベント的な支出と、老後のための貯蓄などです。
このイベント的な支出に関しては、わたしたちの生活が多様化していることもあり、どの程度の支出があるかは、一様にいうことはできませんが、「基幹産業である建設業に働くホワイトカラーとしてのわたしたちの、あるべき水準」という観点で平均的なモデルライフステージを設定し、各種の統計資料をもとに算出することは可能です。こうして算出したものが、日建協個別賃金です。

前々号のCompass(Vol.779)でも紹介しましたが、今年度は日建協個別賃金の算出根拠となる各種統計資料を最新版のデータに変更するなどの見直しを実施し、日建協個別賃金(2008年版)を作成しました。

生計費を根拠とした賃金水準の資料として、活用していただきたいと思います。


日建協では、建設産業で働くわたしたちの「あるべき賃金水準」を示すとともに、社会・経済情勢をふまえた賃金交渉の基本構想を毎年作成し、すべての加盟組合で連帯して賃金交渉に取り組むこととしています。

2009年賃金交渉基本構想では、現在の建設産業を取り巻く社会情勢は非常に厳しいものであるという判断ではありますが、厳しい労働環境に苛まれながらも、日々懸命に努力し続けてきた組合員の思いに報いていくべきと考えます。そのため、労働意欲やモチベーションの大きな源泉となり得る賃金水準は、向上させることをもって産業の活性化が図られるべきであるという考えのもと、賃金水準の現状維持を主眼とせず『今から、そして今だからこそ』賃金水準の向上を図っていくべきだとする、強い意志と決意を示しています。

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私たちの将来の生活を見据えた日建協個別賃金水準は目指すべき水準として、妥当な水準であり明確な指標としてゆるぎないものであり、全加盟組合は、今後も日建協個別賃金水準の実現という目標にむかって、連帯意識をもって取り組んでいく必要がある。
日建協個別賃金水準の実現にむかっては、ともに生活給である月次基準内賃金(以下、月次賃金)と一時金を合わせて年収ベースで検討し、加盟組合がそれぞれの状況をふまえた中期的なビジョンを持って計画的に賃金交渉の方向性を定めていく必要がある。
また、労働人口の減少と働き方の多様化に伴い、全産業において人材確保の競争が激しくなる中で、優秀な人材を確保し離職を防ぐためには、産業の魅力向上策のひとつとして賃金水準の向上を目指すことが必要である。


全加盟組合は、連帯して日建協個別賃金水準の実現にむけて、賃金水準の向上に全力で取り組むものとする。
1.月次賃金について
 ・加盟組合は、定昇を確保するとともに、それぞれが目指すべき到達ラインに向けて
  計画的に取り組む。
 ・加盟組合は、実質賃金の低下を防ぐために、物価上昇分のベースアップを確保する。
2.一時金について
 ・加盟組合は、生活給である一時金の水準向上に計画的に取り組む。
 ・加盟組合は、組合員のモチベーション維持のために、昨年実績以上を確保する。
 .初任給について
 ・加盟組合は、優秀な人材確保のため、他産業に見劣りしない水準として、
  学卒年齢22歳総合職において、21万円以上の実現に向けて取り組む。
 ・加盟組合は、賃金相場形成のスタートラインとして初任給の引き上げに取り組む。

2009年賃金交渉 賃金用語の基礎知識 へ続く


Compass Vol.781 一括PDF(15.9MB)
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