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わたしたちは、自分が働く会社に対しての誇り、そして建設人としての誇り、を持っているからこそ、これまで頑張ってこれたのであり、これからも頑張れるのではないでしょうか。
この建設産業の誇りと未来のためには、働く者にとっての「あるべき賃金」の確保が不可欠です。
さて、2009年賃金交渉のキャッチフレーズは、『守ろう産業の誇り、かたちにしよう明日のしあわせ』です。
このキャッチフレーズには、組合員一人ひとりが、思い描く明日のしあわせをかたちにできる、そんな賃金交渉になって欲しいという願いが込められています。 

このキャッチフレーズのもと 
いざ、『賃金交渉』へ!!


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賃金交渉を行う上で、まず、「賃金」とはなにか? 賃金水準を決定するものはなにか? について考えてみましょう。

●賃金のもつ3つの性格
(1)生計費としての性格(労働力の再生産費用)
賃金は、労働者たるわたしたちにとって、唯一の生活の糧です。わたしたちが生活していくうえで、必要なお金がなければ、労働力は再生産されません。

(2)コストとしての性格(企業の生産活動の費用)
企業は、資本と労働を投下して生産活動を行うことで新しい価値「付加価値」を生み出します。経営者にとって、賃金とは、この労働にかかるコスト(人件費)の一部となります。
※人件費には、賃金の他、社会保険料などの法定福利費や福利厚生費、募集採用・教育訓練費などがかかります。
また、生み出された付加価値は、資本と労働の双方に還元され、拡大された資本と労働が再び生産に投下されてより大きな付加価値を生み出していくことになります。労働によりどの程度の付加価値が生み出されたかを見る指標として付加価値生産性(生産性)があります。

 付加価値生産性(生産性)
      =付加価値/従業員数

(3)労働対価としての性格(労働市場における需給調整)
一般的にものの価値は市場での需要と供給のバランスによって決定されます。経済学的に言えば、労働力も労働市場における需要と供給のバランスによって決定されるべきものとなりますが、賃金のもつ生計費としての性格から、労働力は単なる商品とは異なり、いったん到達した賃金水準を簡単に下げることはできません。
そこで、労働市場においては、供給側の「生計費」と需要側の「生産性」の間で調整が必要となります。この調整において、労使関係(労使交渉)が強い影響力をもつものとなりなります。

賃金の需給バランスで示すとおり、需要が下がる(労働力があまる、求人が減る)場合、生計費が賃金の下限として働きます。逆に需要が増える(労働力不足、求人増)の場合には、生産性が賃金の上限として働きます。
労使交渉では、この上限と下限の間において、どのように付加価値を分配するかが焦点となります。

では、わたしたちは、労使交渉においてどのようなデータが必要となるのでしょう。

第1に、下限となる生計費を把握しておくことが大切です。家計調査結果や、人事院の標準生計費などがこれにあたります。また、わたしたちの生計費に影響をおよぼす消費者物価指数などの経済指標もあわせて分析しておくことが大切です。

第2に、上限となる生産性についての確認が必要です。自社における業績や人件費総額、自社の業績に影響を及ぼすGDPや設備投資額などの経済指標が必要となります。

最後に、これが一番大切なのですが、労使交渉の基本となるわたしたちの声です。
標準生計費や平均生計費は数字で表されますが、実際に生活しているわたしたちが、わたしたちの生活水準をどのように感じているかは、わたしたちの声からしか伝えることができません。また、生産性を上げるために、わたしたちがどのような思いで働いているかも、わたしたちの声からしか伝えることはできません。

●不況下での賃金の決定基準
実は、ここまでの説明は、景気が拡大(企業にとっては業績が拡大)し、生産性の伸びが生計費の伸びを上回る場合についての説明であり、不況下での場面では、さらに労使交渉が重要になってきます。
不況下(景気回復局面も含む)では、生産性【上限】と生計費【下限】が逆転するという現象がおこります。実際に日本経済をマクロ的な視点でみると1999年以降、昨年まで、この状態にあるといえます。


2009年賃金交渉 節約には限度がある へ続く


Compass Vol.781 一括PDF(15.9MB)
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