ちょっとひといき・・・太鼓たたいてます !

p8-01日建協1年目の中村です。8月に着任して早や4ヶ月。新しい職場で右往左往する毎日ですが、日建協の先輩から「まずは顔を売ってこい!」とのもったいないお言葉をいただきましたので(すみません。仕事も頑張ります!)、私の裏の顔 !?である太鼓のことをご紹介させていただきます。

 歴 史

まずは、太鼓の歴史についてご紹介します。

p8-02太鼓は文明史上最も古い楽器で、事実、書き言葉よりも昔からあると言われています。たとえば、ナイジェリアのヨルバ地方では、何千年もの間、太鼓の音が言語の代わりに使われてきました。日本最古の太鼓は縄文時代の遺跡から発見されており、土器でできた太鼓や、太鼓を打つ埴輪は、古代日本において太鼓が宗教的儀式に使われていたことを示しています。

時代が変わっても、太鼓は精神世界を表現する楽器として使用され続けました。農耕民族である日本人は、豊穣を祈り厄災を取り除くために太鼓を叩きました。中世に入ると、田楽などの発達によりお囃子太鼓が隆盛し、戦国時代には自軍の統制をとるために太鼓を利用した陣太鼓が興ります。そしてお盆でおなじみの盆太鼓は、日本のいたるところで独自の節が注意深く守られ、世代を超えて引き継がれ、日本人の原風景となっています。

そんな太鼓が音楽として演じられるようになったのは第二次世界大戦後のことです。数ある流派の中、私の流派は助六太鼓です。長野県の御諏訪太鼓、石川県の御陣乗太鼓と並び日本三大太鼓と呼ばれており、江戸の祭り情緒を思わせる、粋で勇壮な楽曲が特徴です。

 きっかけ

p8-03さて、そもそもなぜ太鼓を始めたのか?

きっかけは、軽い気持ちで大勢の同僚と押しかけた太鼓体験でした。そこで生まれて初めて本物の和太鼓に触れ、体の芯を震わせる太鼓の音を感じました。自分の出した音から何とも言えない力が湧き出てきて、体中を満たしていく。とても不思議な体験でした。もちろん不安はありましたが、自分の第一印象を信じて太鼓部に飛び込みました。

実際には、業務時間内に演奏を行うことも多く、自分の仕事の調整はもちろん、職場の皆さまの深い理解あっての活動だと痛感しています。皆さまの暖かいご支援への感謝の気持ちを胸に、これからも懸命に叩き続けたいと思います。

 恵まれた練習環境

次にご紹介したいのは、恵まれた練習環境です。わが太鼓部(※)は昭和57年に発足し、今は東京の新木場を練習場所兼太鼓置き場として活動しています。

p8-04音や振動が大きいので、練習場所探しはかなり難航しましたが、今は毎週火曜日の夜7時から9時まで、心置きなく音を出すことができます。

使用するのは長胴太鼓です。胴は1本の木を繰り抜いて作られ、主にケヤキが使用されます。面は牛の皮を鋲で止めて張られています。太鼓を叩くバチの素材は最も硬いカシから柔らかいヒノキまで様々ですが、硬いバチは丈夫な一方で面を痛めやすく、破れてしまうと面の張り替えには約10万円もかかります。

では太鼓の値段は?  わが太鼓部最大の2尺3寸の大太鼓だと300万円を超えます!  重厚な太鼓には、叩かずとも人を圧倒させる迫力があります。太鼓の数は2尺3寸の大太鼓から締め太鼓まで計10巻。なかなかこれだけ練習環境が整っているところはないのでは?  と、歴代の部員や活動に賛同しご寄付いただいた皆さまには、ただただ感謝の一言です。

(※)三井住友建設太鼓部、通称「三建太鼓」

 演奏機会

p8-05また、大事なのは演奏機会です。

ゼネコンという業種がら、自社物件の竣工式などで叩く機会が多く、過去には海外での演奏もあったとのこと。日建協の主催する行事でも叩いているので、覚えている方もいらっしゃるのでは?  自分の担当した物件の竣工パーティで叩いて、お客様に感謝の言葉をいただいたり、地域のお祭りや会社とは直接関係のないイベントで叩いて温かい言葉をいただいた時は、天にも昇る気持ちよさです!  いつでも最高の演奏ができるように日頃の鍛錬は欠かせませんが、やはり太鼓は人に魅せ、聞かせて、震えてもらってこそ!  演奏のたびに、叩ける幸せをかみしめています。

 仲  間

そして、一緒に叩く仲間です。

入部して早や10年。私が入部してから部員は最大で9人まで増え、今では男性2人・女性2人のわずか4人・・・。それぞれの事情はあるものの、仲間が減ってゆくのは本当に寂しい限りです。だからこそ、熱く熱く交流しております。演奏が終われば、みんなで希望を出し合って、旨いものを食べて呑みまくります。

中でも心踊るのは太鼓遠征 !   遠方の普段会えない方と交流を深め、かこつけてプチ旅行を楽しみ、その土地でしか味わえないものを喰らい呑む!(最後は同じでしたね…。) これがあるから厳しい練習にも耐えられるというものです。

p8-06そして、忘れてはならないのが歴代の太鼓部OB、OGの存在です。実は我々の演奏曲の必要最低人数は4人。つまり、一人でも欠けると演奏できる曲が大幅に限られてしまうのです。そんなピンチに駆けつけて助けてくださるのが偉大なる諸先輩方。練習機会も少ないのに、いざ叩き始めれば、その粋な姿には毎度惚れ直させられております。もちろん、演奏後も現役部員以上に豪快です。これからも、現役部員で頑張って叩き続け、先輩方がいつでも帰って来れる、家族の様な太鼓部であり続けたいと思っております。

 太鼓の魅力

最後に太鼓の魅力について。

p8-07学生時代に音楽や演劇の経験もなく地味に歩んできた私が、こうして人前で太鼓を叩いているのは、音を出すだけじゃなく魅せてなんぼであり、まさに演舞することにすっかり魅了されてしまったからです。

腰を入れて叩いた太鼓の音、振動。自然と感覚は研ぎ澄まされ、叩き手と観客が、太鼓を通じて一体化していくのを感じます。音階が無いからこその難しさ。叩く場所、強さ、リズム、バチの振り上げ方を変え、力強い鼓動を創り出していきます。そしてその鼓動は仲間と重なり、掛け合って、大きなうねりとなって全てを巻き込んでいきます。

その姿を見てくださった方に「粋だったね!」と言われれば最高です!   気持ち良く叩いて、一体感も味わえて、それで「粋」って言ってもらえるなんて最高じゃないですか? 残念ながら、私はp8-08そう言ってもらえるにはまだまだ力不足ですが、この奥の深さが何よりの太鼓の魅力かも知れません。しかし、しっかり音を出しつつも粋に魅せるって、何て大変なんでしょう・・・。

道は険しいですが、うまくなってみせます!

 


p8-09ふり返ると、太鼓を叩いていることが私のアイデンティティにおいていかに大きいか、そして、これまでにどれだけ多くの人と自分を結びつけてくれたかを再確認することができます。

仕事はもちろん大切ですが、それは充実した生活があってこそです。私にとって太鼓は、その二つを繋いでくれる大切なものの一つです。これからも太鼓を通じて色々な方と知り合い、太鼓の音色や振動で多くの皆さまと一体感を味わって、私のワークとライフのより一層の充実を目指します。将来、たくましく成長した息子と一緒に祭り太鼓を叩く日まで、私は太鼓を叩き続けます!

この記事を読んで少しでも興味をもたれた方は、ご連絡をお待ちしています。