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完成提言書PDF
「建築工事の4週8休を含む不稼働日を考慮した工期設定』の実現にむけて」

増え続ける残業時間
アドバイザー[建築]会議の様子
時短特集記事にもあるとおり、日建協全体の平均所定外労働時間は過去10年間で最も高い数値となっています。特に、建築作業所で働く組合員の1ヵ月あたりの残業時間は約90時間にも上っています。さらに、月に100時間以上の残業を行なう人は4割を超えています。
このような現状をもたらす原因はどこにあるのでしょうか?
アンケートの結果によると、休日を取得できていない実態が浮かび上がってきます。特に、建築作業所に勤務する組合員を見ると、残業時間のうち44.4%を休日出勤が占めています。また、昨年11月の土曜日は、平均で4割しか休めていないという事実が明らかになっています。
このままでは、組合員の健康不安はもとより、若年層の離職や入職希望者の減少など、産業の魅力をさらに衰退させていくことに繋がってしまいます。


アドバイザー[建築]会議と工期設定の現状
そこで日建協では、建築工事における長時間労働の原因を追及し、その対策を検討していくためにアドバイザー[建築]会議(Compass11月号で紹介)を立ち上げ、組合員から募集した12人の勇士と議論を重ねてきました(4月末まで8回開催)。
会議では、土曜日を休日とした工程を計画できない環境にあることが大きな要因であると考え、「建築工事における適正工期」をテーマに活動することとしました。そこで、首都圏・近畿圏で建築工事に携わる512作業所を対象に工期に関する調査を行ったところ、厳しい工期設定の実態が浮かび上がってきました。
下記グラフは対象工事の工期設定上の休日条件を調査した結果です。建築工事の約8割は受注時に休日条件が明示されていません。また、実施工程上の休日条件を見てみると、約9割の作業所が4週4休以下(4週4休+4週4休未満)という短い工期設定であることがわかりました。
まさに、休日返上を前提とした工期設定となっています。これでは、日曜日以外の作業所閉所は困難です。また、建築外勤者の残業時間が高止まりしている状況を見ると、作業所における人員配置や人員補強だけでは対応しきれていないことは明らかです。建築作業所で働く組合員が休日を取得できない大きな要因となっていることが分かります。



日建協が考える「適正工期」とは?
このような結果を受け、アドバイザー[建築]会議では、工期設定のあり方そのものに対し、新たに「民間建築工事においても『4週8休を含む不稼動日を考慮した工期設定』とすべき」とする提言活動を行っていくこととしました。
提言書では、4週8休を含む不稼働日を、「土曜日・祝祭日・日曜日・雨天等の休止日」と定義し、契約段階から工期に織り込んでいくことを主張していく予定です。
4週8休の考え方は、公共工事では一般的になりつつあります。国土交通省では、労働基準法の週40時間へのスムーズな移行をはかるため「建設産業における労働時間短縮推進要綱」を策定し、その具体的方策について通達を出しています。このなかで国交省は、住宅・社会資本整備の円滑な推進と建設産業の健全な発展を目的に、建設産業の時短にむけた支援措置として『4週8休を含む不稼働日を考慮した工期設定と契約条件への明示』を指導しています。
日建協では、この考え方は民間の建築工事においても当てはまるものであり、同様の支援措置が必要であると考えています。


建設産業関係者を巻き込んだ活動
受注競争が激化する中で、技術向上だけでは対応できない過度な短工期受注が、私たちの長時間労働を助長させるおそれがあります。このような環境下では、企業内の労使による時短活動の努力だけでは、成果はなかなか得にくいのではないでしょうか。
日建協では「休日に休める環境作り」をテーマに、建設産業関係者を巻き込んだ、もう一歩進んだ取り組みが必要だと考えています。
今後、発注者をはじめ、行政や業界団体などに対して、「民間建築工事における適正工期」の実現にむけた提言活動を展開していきます。まずは、私たちのおかれた状況を伝え、長時間労働の要因が短工期設定にあることを認識してもらうことから始めていきたいと考えています。


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