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日建協では2003年10月から2004年6月まで、民間マンションの厳しい労働環境を改善していくため、民間分譲マンション工事経験者によるタスクチームを結成し、その原因と対策を明らかにし、2004年8月には提言書を作成しました。
あれから一年、現在も提言活動は継続中です。 提言書では、民間分譲マンション工事の契約にあたり、業務内容が特定できる明確な表現とするこ とを基本とし、発注者への提言として、次の3点を挙げています。
@販売戦略の早期確立による設計図書への反映
A作業所での休日対応を減らすために、内覧会等の平日実施に対する購入者の理解を求める
Bアフターサービスへの対応窓口は、購入者と直接の契約者である発注者がなるべき
タスクチームが作成した提言書を用いた活動は、日建協からの一方的な意見発信のみにとどまることのないよう、各方面に対し「提言内容の確認と意見交換を行い、それから発注者への提言へ」という流れで進めています。活動はこれまで約1年をかけて、マンション事業に関連する労働組合、発注者(不動産関係の業界団体、個別デベロッパー企業)、受注者(建設産業の業界団体、企業経営者)などを対象に意見交換を重ねてきました。これらの提言活動に対し、様々な相手先から「現状を変えていくためには、問題意識を持って声を発していくことが大切だ」との意見をいただいています。
提言書へ今年の5月からは、不動産協会や日本住宅建設産業協会などの発注者団体や、分譲マンション事業を行なう個別デベロッパー企業に対し、私たちの置かれた現状を伝えるとともに、上記3点の提言ポイントを中心に意見交換を行なっています。
訪問したデベロッパー企業数社からは、「契約内容の明確化という考え方に異論はない」とし、「改善」にむけた過渡期にあると感じられる意見が多く出されました。しかしながら、その進め方は企業毎に差がある上に、担当者の裁量にゆだねられる部分が比較的大きいことから、個別物件における改善はあまり進んでいないのが実状のようです。提言ポイント別には次のような傾向が見られました。

@販売戦略の早期確立による 設計図書への反映
訪問したデベロッパーのうち、いくつかの企業では、顧客へのスムーズな物件引渡しのためにも、施工上の手戻りを最小限にとどめることに注力しているようです。「工事発注段階において販売戦略をかため、設計図書に反映させ、工事着工後の過度な設計変更や仕様変更は少なくするようにしている」との意見も聞かれました。しかし、「物件担当者のレベルでは、契約にないことを受注者にお願いするケースもある」との意見もあり、個別物件においてはまだまだ改善途上にあるようです。

A作業所での休日対応を減らすために、内覧会等の平日実施に対する購入者の理解を求める
内覧会の平日開催については、マンション工事の第一線で働く組合員のみなさんからの声もあり、デベロッパー企業から購入者の理解を求めるケースが少しずつ広がりを見せ始めているようです。

Bアフターサービスへの対応窓口は、購入者と直接の契約者である発注者がなるべき
今回訪問したすべての企業において、関連会社を活用するなど発注  者側が直接窓口となって購入者への 対応を行なっているとのことでした。

提言課題は一朝一夕で解決できるものではなく、提言内容の実現にむけた地道な活動の積み重ねによって少しずつ変化していくものです。これまでの提言活動をとおし、発注者側も、受注者である私たちの声をまじめに受け入れてくれることを強く感じることができました。  日建協では、今後、契約の当事者である受注者(企業経営者)に対しても、加盟組合とともに提言活動を推進していきます。
ところで、第一線で働く私たちは、自分が担当する工事の契約内容や責任区分についてどれだけ理解できているでしょうか? 発注者等の要望に対し、契約にない業務や責任区分の不明確な業務を不用意に受け入れてしまっていることはないでしょうか?
良いものを共につくっていくパートナーとして、発注者との相互理解を深めていくとともに、時には毅然とした態度も必要です。それが、契約体質の改善につながります。
また、「自分の労働時間は自分で管理する」という意識を持ち、当たり前になっている長時間労働にもっと疑問を持つことも必要です。私たち自らの力で労働環境を変えていこうとする努力が、現状を「改善」していく鍵であることは言うまでもありません。

※提言活動に関する詳細内容については、各加盟組合本部に活動報告資料がありますので、お問い合わせ下さい。
提言書の詳細はこちらで!
Compass Vol.764 一括PDFはこちら(10.7MB)

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