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みなさん、公共工事における品質に係わる法律ができたのをご存知でしょうか。その法律は「公共工事の品質確保の促進に関する法律(公共工事品確法)」といいます。文字通り構造物の品質を確保するための法律です。その内容はどのようなものでしょうか。また、この法律の導入は私たちの労働環境にどのような影響をもたらすのでしょうか。数回にわたりこの法律に関して考えていこうと思います。
第1回目となる今回は、法律ができた背景と法律の概念について確認していきます。
公共工事品確法A・・・具体的事例と影響公共工事品確法B・・・小澤一雅 東大教授に聞く
公共工事においては、企業の「技術力」が品質を大きく左右します。しかし、従来の公共工事の入札制度は技術力の評価部分が薄く、「価格」が重視される仕組みになっています。こうした中、採算の取れないダンピング受注が増加してきており、「構造物の品質の低下を招いている」とか「労働条件の悪化につながっている原因ではないか」という声が広がってきました。
そこで「価格」のみを重視するのではなく、「品質と技術力」にも重点をおいた仕組みにかえていこうと、今回、「価格と品質と技術力」を総合的に評価する制度の構築に向けて、「公共工事品確法」ができたのです。
この法律の大きなポイントは次の3つとなります。

@『公共工事の品質確保に関する「基本理念」及び「発注者の責任」の明確化』
発注者は、「発注関係事務(仕様書・設計書の作成、予定価格の作成、入札・契約方法の選択、契約の相手方の決定、工事の監督・検査、並びに工事中及び完成時の施工状況の評価等)を適切に実施し、必要な職員を配置すること」また「将来のため、施工状況の評価等を資料が有効に活用されるよう保存すること」等と定めています。

A『「価格競争」から「価格と品質で総合的に優れた調達」への転換』
発注者は、「競争参加者の技術的能力(工事の経験、施工状況の評価、配置予定技術者の経験等)を審査しなければならないこと」また「技術提案を求めるよう努め、これを適切に審査・評価しなければならないこと」等と定めています。

B『発注者をサポートする仕組みの明確化』
発注者は、「自ら発注関係事務を適切に実施することが困難(発注体制が未整備)な場合は、国・他の地方公共団体・その他の者(建設技術センター等の公益法人)の能力を活用すること。その際、知識・経験、法令遵守・秘密保持等の条件を備えた者を選定し、発注関係事務の公正性を確保すること」と定めています。
つまり、公共工事の品質を確保するために@「適切な発注関係事務の実施」と A「企業の技術力を活かす仕組みの導入」を行うとともに、B「発注体制が未整備な発注者をサポートする体制の確立」を整えていこうという法律なのです。

今回は、法律ができた背景と法律の概念を書きましたが、理解できましたでしょうか。ところで、この法律は、わたしたちの労働条件の向上にどのようにつながっていくのでしょうか。はたして良い面ばかりなのでしょうか。  次回は、この法律の具体的な適用事例をあげながらその影響について確認していきます。
公共工事品確法A・・・具体的事例と影響公共工事品確法B・・・小澤一雅 東大教授に聞く
Compass Vol.764 一括PDFはこちら(10.7MB)

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