建築(民間)工事の『適正な工期で受発注できるルールづくり』にむけた提言活動

 

日建協では、建築作業所の組合員のみなさんの労働環境の改善をめざし、提言活動をおこなっています。今回は、建築(民間)工事の適正な工期で受発注できるルールづくりにむけた提言活動についてご紹介します。

 民間建築工事では工期のルールがない?

建築外勤者では月平均80時間を超える所定外労働が常態化しており、組合員のみなさんからも厳しい工程のもと、休日を取得することが非常にむずかしい、と言った声が寄せられています。こうした民間建築工事の過度な短工期による厳しい労働環境は、工期についてのルールがないことが大きな要因になっていると考えます。

適正な工期で受発注できるルールづくりにむけて

建設業法では、着工日・竣工日・引渡日を契約書に記載することが定められていますが、休日などの条件を定めるというルールはありません。また、国土交通省が策定した「発注者・受注者間における建設業法令遵守ガイドライン」では、適正な工期設定を必要とする、としていますが、具体的な基準については示されていません。つまり、過度な短工期をセールスポイントにすることや発注者・ユーザーの無理な要望に応える短い工期で受発注することができてしまいます。そこで日建協では、適正な工期で受発注できるルールが必要と考え、請負契約に着目して以下の提言をおこないました。

 

民間契約約款委員会とは

:請負契約約款の社会的認識の向上に努め、公正妥当な工事請負契約の履行に寄与することを目的とした委員会。日本建築学会・日本建築協会・日本建築家協会・全国建設業協会・日本建設業連合会・日本建築士会連合会・日本建築士事務所協会連合会の7団体で構成されています。

 

回答  民間契約約款委員会 委員長

約款に盛り込むための適正な工期について受注者内で共通の認識はあるのだろうか。問題の解決には、受注者側で工期について共通の認識を持ち、もっと受注者側から声をあげるべきだろう。

 

経営者をはじめ営業や施工、積算、設計など、立場によっては受注のために過度な短工期を設定せざるを得ない状況にあります。受注者内でも過度に短い工期がもたらす様々な問題点については十分に理解されていると考えますが、適正な工期について、あらためて受注者内で共通認識の醸成を図っていくことが必要と考えます。

 

回答  民間契約約款委員会 各構成団体

(業界団体)

・過当競争に陥らないためにも工期に対しては、自主的、法的な規制は必要だ。

・発注者が事業計画など完成日を中心に考えるのでは、受注者側が考える適正な工期を実現することはむずかしい。

・次世代の担い手を確保することは急務と考えている。建設産業の労働環境改善は将来にむけ、早急に取り組むべき課題だ。

・建設工事紛争審査会では、工期についてあっせんや調停は行われておらず、問題が表面化してこないのが現状だ。

(資格者団体)

・会員数の減少、若年層の減少は、受発注者や設計者に係わらず、建設産業全体にとってマイナスでしかない。

(設計者団体)

・建設産業の魅力向上にむけては休日が必要だ。

・工事を監理する業務であり、様々な工法が開発されるため、設計者が適正な工期を判断することはむずかしい。

(各団体)

・休日条件は、契約約款ではなく、契約の特約事項として定めることだ。

 

各構成団体ともに契約約款の改訂に対しては、肯定的なご意見はいただけませんでした。しかし、その一方で業界団体、資格者団体、設計者団体など異なる立場において共通するのは、産業の将来を危惧するご意見でした。日建協では、建設産業全体が抱える構造的な問題の解消にむけて産業全体で取り組んでいく必要があると考えます。

 

大臣官房官庁営繕部とは

:官庁施設の工事を発注するなど保全や指導を行い、施設の質の確保のため、公共建築工事標準仕様書など技術基準類の作成や勧告を行う部署。

 

提 言

日建協のアンケート結果では、公共建築工事においても約80%の作業所が4週4閉所となっている。まずは、公共建築工事から「4週8休」の工期設定を徹底していただきたい。

回 答

日建協のアンケート結果から公共建築工事の工期設定が4週8休であることが浸透していないことが分かった。標準仕様書の一般共通事項に休日の記載があるので監督職員に再度、周知徹底するように伝えたい。

 

民間建築工事の適正な工期での受発注にむけて、手本となる公共建築工事の4週8休の実現は不可欠です。今後も公共建築工事での4週8休を含む不稼働日を考慮した工期設定が徹底されるように継続して提言していきます。

 

 

土地・建設産業局建設業課とは

:建設業の許可・建設業者の指導・監督・施工管理技術検定・経営事項審査・入札、契約制度に関すること等、建設業に係わる事務を行う部署。

 

提 言

「発注者・受注者間における建設業法令遵守ガイドライン」では適正な工期設定を必要とする、とされている。

受発注者双方を一堂に会して勉強会を開催していただきたい。

回 答

受発注者間で合意した工期が合理的な工期と考えられ、行政側から民間工事の工期設定の考え方を示すことは難しい。民間発注者や日建連などの業界団体が示すことが望ましいと考える。

 

受発注者間のガイドラインでは、「適正な工期設定を必要とする」とされており、民間建築工事の発注者に対してもガイドラインの活用によって適正な工期設定の働きかけができるものとして期待されます。今後も国土交通省へガイドラインの周知や適切な運用を働きかけていきます。また、業界団体などへも適正な工期について考えていただくよう働きかけていきます。

 

日建協が考える標準工期とは

日建協では、これまでの提言活動をつうじて得られた意見や建築アドバイザー会議での討議から、建設産業全体で「適正な工期」について考える際に指標を示すことが必要と考え、「日建協標準工期」を策定しました。適正な工期を考えるにあたっては、作業できる「稼働日」、作業できない「不稼働日」※1を明確にして工期を設定する公共建築工事の考え方をもとにしています。(下図参照)

「日建協標準工期」では、さらに建築作業所アンケートのデータを活用して「稼働日」を推計し、「不稼働日」をカレンダーなどから計算して全体の工期としています。工事を受発注する前に、つまり、民間建築工事の発注者が事業の計画や立案をする時点で、工期について考えていただけるように、これからの提言活動や意見交換の中で「日建協標準工期」の活用を図っていきます。

■日建協ホームページでは、「日建協標準工期リーフレット」を公開しています!

ぜひ、ご覧ください !! ⇒http://nikkenkyo.jp/downL/teigen/2012.09hyojun-kouki.pdf

 

おわりに

過度な短工期によって長時間労働が増加し、わたしたち組合員の労働環境が悪化することは、産業の魅力低下や産業の衰退につながると考えます。適正な工期で受発注できるルールは、わたしたち組合員の労働環境の改善だけでなく、今後の建設産業の健全な発展を促すものと考えます。日建協では、適正な工期で受発注できるルールづくりをつうじて、民間建築工事における4週8休を含む不稼働日を考慮した工期設定の実現にむけ活動していきます。

 

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