建設産業で働く者のために ~土木作業所で働きたいと思える労働環境をめざして~

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~土木作業所で働きたいと思える労働環境をめざして~

日建協では、国土交通省が打ち出している施工円滑化にむけた各種施策が確実に実行されれば、土木作業所で働く組合員の労働環境改善につながると考え、国土交通省本省及び地方整備局に対して提言を実施しています。

ここでは、2014年5月から6月にかけて全国8地方整備局と北海道開発局に対して行った提言活動の内容と主な回答について、土木作業所アンケート結果とともに紹介します。

(1)設計照査と条件明示の現状について

提 言1 工事発注前における準備を十分に行い、

施工が円滑に進捗するよう発注業務を行うべき。

1) 設計図書の不具合を減少させるべく設計者に対し対応すると共に発注者側で設計図書のチェック等を講じるべきである。

2) 設計図書の修正などを行う際は、設計照査ガイドラインに則し対応すると共に工期や費用の変更を実施すべきである。

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回 答

08-4_kantou1) 設計者からの成果品を担当者がチェックし、さらに検査官が完了検査をしている。不具合等がある場合は、やり直しの命令を出して設計図書の品質向上に努めており、今後も指導を徹底する。受注者としても実際に現場に入り不具合を見つけた際は、三者会議の開催を発議し、設計の意図を再度確認してほしい。(関東地整)

 

2) 照査範囲を超えた設計図書の訂正や変更に要する費用は発注者の責任で行うと明記しており、所管の事務所に対して指導しているが、まだ行き渡っていないとの事なので、引き続き指導する。(近畿地整)

(2)工事一時中止ガイドラインの運用について

提 言2 工事ができないと認められた時は、

工事一時中止に係るガイドラインに則し工期変更を適切にすべき。

1) 事前協議など、他者との調整が工事着手時点で終了していない場合は、速やかに工事一時中止に係るガイドラインに沿って工事の一時中止の指示・通知をすべきである。

2) 工事一時中止ガイドラインを運用する際は、中止した期間や実状を考慮し、工期変更を行うべきである。

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回 答

08-5_shikoku1)協議未完了の場合や請負者の責に帰することができない事由によって施工ができなくなった場合、工事の一時中止の指示を行い、工期の変更を検討することは発注者の責務である。職員が取るべき行動を引き続き研修等で指導する。(四国地整)

 

2)やむを得ず工事一時中止をした場合は、必要な経費は追加変更するよう日頃から努めているが、より一層徹底する。中止した期間にかかる経費については2014年度から監督員を対象とした研修の中で、建設業の原価管理という新たな講座を設け、監督員にも一時中止した際に施工者に生じる負担についてを学ばせている。(中国地整)

(3)設計変更の現状について

提 言3 設計変更の際は受発注者の業務の分担を適正に行い、

速やかに設計変更を行うべき。

1) 工事内容の変更に際しては、受発注者間で適正な業務分担が望まれる。工事着手時点で、設計変更ガイドライン等の施策の内容について受発注者で確認するよう特記仕様書等に記載すべきである。

2) 設計変更に際しては、受発注者が一同に会する場である設計変更審査会等で、速やかに変更を行うべきである。

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回 答

1) 設計と現地の不一致は発生する事があるので、設計変更等の検討部会の中でコンサルタント等も同席させて、設計変更の分担範囲の確認を行う。設計変更ガイドラインなど指針に従い、周知徹底する。(北陸地整)

 

2) 受発注者双方の確認の場として設計変更確認会議を必要に応じて開催する。会議には迅速な決断を行えるよう、必ず総括監督員である所長が参加し、受注者側には責任ある立場の方に参加をお願いする。この会議を有意義に使い速やかに対応するよう、職員には再度周知徹底を図る。(北海道開発局)

(4)片務性について

提 言4 片務性を解消し、受注者と発注者双方が対等な立場で業務を行うべき。

1) 依然存在する片務性の解消にむけて状況を確認し、勉強会等で解消策の周知徹底をすべきである。

2) 工事発注時点で、本来発注者が行う業務と受注者が行う業務を互いに確認し、片務性の解消に努めるべきである。

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回 答

09-3_touhoku1) 発注に対する諸問題を適切に対応すべく、工事執行相談室を本局と各事務所に設置しているので是非利用してほしい。引き続き、出先の事務所等に対し、地区を分けて年間2回、受発注者の対等性確保、発注者の優位的地位の濫用排除にむけ指導し、またコンサルタント等の企業に対しては出前講座で指導する。(東北地整)

 

2) 片務性の解消、コミュニケーション強化をめざし「いきいき現場づくり」という取り組みを行う。工事監理連絡会、設計変更協議会、ワンデーレスポンス等を使い、引き続き片務性の解消にむけて取り組む。(九州地整)

おわりに

各地方整備局の回答からは、施工円滑化にむけた各種施策の運用について、発注者責務を明確にした上で、積極的に取り組んでいる印象を受けました。しかし出先の事務所や出張所等での対応には、担当者によってまだまだバラツキが残っているようです。日建協では、土木作業所の労働環境改善にむけ、各種施策が具体的な取り組みとして的確に運用されていくよう、引き続き提言活動を実施してまいります。

昨年、品確法をはじめとする改正担い手三法が成立しました。日建協からも「公共工事の改正品確法の運用指針骨子案」に対し、働く者の立場から意見発信を行いました。国が動き出した今こそ、建設産業の抱える構造的な問題を解決するチャンスです。みなさんも労働環境改善にむけ、ともに魅力ある建設産業をめざして行きましょう。

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