NikkenkyoNews Vol.37 官庁営繕部に7つの提言を実施・・・国土交通省大臣官房官庁営繕部意見交換

於:国土交通省(東京都千代田区)
2015年4月21日(火)11:00~12:05

 

日建協は「作業所における4週8休の実現にむけて~誰もが働きたいと思える建設産業をめざして~」と題して、官庁営繕部に対して以下に記す7つの提言を行いました。

提言書はこちらをクリックしてください。

 

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官庁営繕部(写真左)と日建協(写真右)

官庁営繕部からは、
「休日条件について、今後も関係者への周知に努めていく。また、公共建築工事における適正工期の考え方や各種ガイドラインを周知し、その運用についても注視していく。」
「東京五輪等の注目の高いプロジェクトでモデル工事等を展開する意味は理解できる。国交省として、そのようなプロジェクトに対してもしっかり関与していく。」
「発注の平準化などの効果も次第に表れ、震災復興に資材も人材も集中して不調・不落が頻繁だった頃からすると、少し落ち着いてきたように思う。今後も余裕工期、フレックス工期での発注など取り入れていく。」
などの回答がありました。

 

意見交換からは、官庁営繕部としても品確法の理念実現にむけて、真剣に取り組む様子が窺えました。日建協では今後も意見交換、要請を継続的に行い、建築作業所で働く組合員のみなさんの労働環境改善につなげていきます。

 

提言の概要については以下のとおりです。

 

1.プロジェクト全体工期の適正化

・「管理工程表」の活用による進捗管理の共有の徹底
・4週8休を含む不稼動日を考慮した工期設定の徹底
・余裕工期の設定
・発注時期・納期・施工時期の平準化

 

2. 4週8休現場の推進

・4週8休モデル現場の積極的な展開
・注目度の高いプロジェクトでのモデル現場の選定
・公共工事標準請負契約約款への4週8休の明示

 

3.施工円滑化にむけた各種施策の運用強化

・業務分担の明文化による各種ガイドラインの運用強化
・設計調査と条件明示の徹底
・各地方整備局における各種施策の関係各所への周知徹底と運用確保
・各地方整備局における各種施策の好事例の水平展開

 

4.下流工程への負荷を軽減する建設生産システムの普及促進

・上流工程で諸課題を解決する建設生産システムの推進
・次世代型建設生産システムで活躍できる人材の量的確保と育成強化

 

5.中長期的な人材確保にむけた産官学連携した積極的な建設産業のPR

・こどもたちにむけた建設産業のPRへの協力
・広報機会の拡大への協力
・国民的イベント及び観光業との連携強化
・地域社会に対するPRへの協力

 

6.建設産業諸政策の民間工事への波及

・民間発注者への理解促進
・第三者機関の工期算定による短工期受発注の抑止

 

7.技能労働者の処遇改善

・賃金向上と社会保険加入促進
・技能の見える化の推進
・多様な働き方の実現

 

その他 単身赴任者の帰省旅費の非課税化等

・単身赴任者の帰省旅費の非課税化
・東日本大震災復興事業等の災害復興事業従事者への税制優遇措置実施

 

【1.プロジェクト全体工期の適正化】では、企画、調査、設計、施工の各段階において適正な期間を確保するよう求めています。実現にむけては、管理工程表の活用による四者(発注者、設計者、監理者、施工者)の情報共有化、余裕工期での発注、発注時期・納期・施工時期の平準化が必要であるとしています。

 

【2.4週8休現場の推進】では、国土交通省が今後発注する全ての工事において完全週休2日を実施するよう求めました。そのためにまずは現在国土交通省が進めている「週休2日モデル工事」について、地域、事業規模を問わず積極的に推し進めるとともに、状況把握に努め、調査・分析の上、以降の発注工事に確実に反映させていくことを求めました。また、担い手の確保という観点から、より注目度の高い工事をモデル現場に選定することで社会への発信性を高めていくべきとしました。実現にむけてはルール化が必要であり、公共工事標準請負契約約款に休日条件を記載するなど検討を進めていくことを提案しました。

 

【3.施工円滑化にむけた各種施策の運用強化】では、国土交通省の示す各種ガイドラインのさらなる取り組み強化にむけ、四者がそれぞれの業務を確実に遂行するべく、業務分担の明文化、設計照査と条件明示の徹底を求めました。また各地方整備局では、九州地方整備局が「いきいき現場づくり」といった独自の施策で効果を上げていることを参考に、好事例を国土交通省本省が取りまとめ、水平展開を図るよう併せて申し入れました。

 

【4.下流工程への負荷を軽減する建設生産システムの普及促進】では、後工程にしわ寄せがいく現行の生産システムに対し、四者が協力体制を築き、上流工程で諸課題を解決していけるような事業の特性に応じた建設生産システムの構築と、その普及促進を求めました。

 

【5.中長期的な人材確保にむけた産官学連携した積極的な建設産業のPR】では、次世代を担うこどもたちに向けて、教科書への掲載や親子見学会の開催に加え、SNSやYouTube、ゲームなど親しみやすい新たなメディアチャネルでの広報を推進していくよう求めました。東京五輪やリニア新幹線など注目度の高いプロジェクトを積極的に活用し、産業全体が一体感を持ち、広く社会に建設産業の魅力を伝えていくことが重要であると求めました。

 

【6.建設産業諸政策の民間工事への波及】では、改正担い手三法の理念を建設産業全体へ確実に浸透させるためには、国土交通省直轄工事が手本となって建設投資の6割を占める民間工事へも波及させていくことが重要であり、監督官庁として関係者の理解協力を得ながら取り組みを推し進めていただくよう求めました。

 

【7.技能労働者の処遇改善】では、技能の見える化(技能に見合った賃金、社会保険加入、就労履歴管理、雇用形態の明確化など)を産業全体で強く推し進めていくことが作業所の4週8休の実現、産業の魅力向上に繋がるとして、技能労働者の処遇改善を求めました。

 

【その他 単身赴任者の帰省旅費の非課税化等】では、現地単品受注生産かつ有期事業という特性、及び入札時の資格要件等により単身赴任を余儀なくされる組合員が多数いる建設産業の実態を伝え、現在、課税対象所得とされている帰宅旅費の非課税化にむけ、監督官庁として、国土交通省が他の関係省庁に対し働きかけていくべきだと強く求めました。

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