青山議長メッセージ第1回 2025年の活動にあたって
ともに創ろう あなたが輝ける建設産業を

日建協議長 青山 敏幸
皆さん、こんにちは。日建協議長の青山です。第102回定期大会を終え、日建協の2025年度の活動がスタートしました。
組合員の皆さんにおかれましては、労働環境の改善や労働条件の向上にむけ、日頃より精力的に活動に取り組まれているなかで日建協の活動へのご理解とご尽力を賜り、深く感謝申し上げます。
議長という大役の責任をしっかりと果たせるよう、引き続き建設産業の魅力向上、組合員の皆さんの処遇向上、労働環境の改善をはかっていきます。これから1年間どうぞよろしくお願いします。
さて、昨今の世界情勢を見渡すと、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻の長期化や中東でのイスラエルとパレスチナの紛争の激化など非常に複雑かつ不安定な状況が続いています。また、米中対立では、経済面だけでなく、政治、軍事、技術など多岐にわたる分野で緊張が高まっており、さらには世界各地で発生している異常気象により、食料供給や経済にも深刻な影響を与えています。
日本経済においては、依然として高いインフレ率が課題となっており、アメリカのトランプ政権による関税引き上げ政策が貿易に大きな影響を与えています。また、賃金や設備投資への好影響が期待される一方、サービス消費やインバウンド需要は回復基調を維持しながらも伸び悩み、人手不足による供給制約は引き続き懸念材料となっています。
このような先行き不透明な経済情勢のなか、私たちが働く建設産業は、社会経済活動の正常化が進んだことによる国内景気の持ち直しに加え、政府は第1次国土強靱化実施中期計画にて2026年度から5年間で20兆円規模とするなど、政府建設投資、民間建設投資ともに底堅く推移していくことが予想されます。また、資材価格や労務費の高止まりが続く中、工事採算の改善や適正な価格転嫁が求められ、各企業の収益構造への影響は依然として大きく厳しい経営環境となっています。今年の春闘においては、総合評価落札方式における賃上げ実施企業に対する加点措置の継続に加え、物価上昇が追い風となり、ベースアップや一時金の水準改善、初任給の引き上げが多くの企業で実施されました。また、労働環境においては、適正工期の確保や生産性向上などの働き方改革にかかわる施策、建設産業の魅力発信や女性活躍・定着の推進、建設DXの推進など、行政機関、業界団体、労働組合が一体となって取り組みを進めていることで着実に改善傾向ではあるものの、他産業と比較ではまだまだ改善の余地があり、今後もさらに取り組んでいかなければなりません。
私たちが働く建設産業は、暮らしを支える経済社会基盤を建設、維持管理していく社会資本の担い手であり、災害時には、最前線で地域社会の安全・安心の確保を支える地域の守り手としての役割も担っています。社会にとってなくてはならない存在であるからこそ、産業が抱える課題を早期に解決し、私たちの手で魅力ある産業へと変えていかなければなりません。また、私たち組合員の労働環境については、2024年4月より適用された時間外労働の上限規制の効果もあり、労働時間は減少傾向にあるものの、いまだ長時間労働や労働時間の乖離申告などの課題も残っています。
このような状況をふまえ、2025年度、日建協は「産業政策活動」と「加盟組合支援」を2本柱として活動を推進し、産業全体のさらなる底上げと加盟組合にとって有益な活動となるよう組合活動を実践してまいります。
産業政策活動は「政策提言」を重点活動に据え活動を進めます。政策提言アドバイザー会議、作業所アンケートや時短アンケート結果などをつうじて建設産業の実態を把握するとともに、行政機関や業界団体などに対して、建設産業が解決すべき課題や産業内の構造的な問題について、働く者の立場から意見発信、提言をしていきます。また、さまざまな団体との意見交換をつうじて、建設産業の魅力発信と働き方改革のさらなる推進を訴えるとともに、持続可能な建設産業にむけて担い手確保の促進をはかっていきます。
加盟組合支援は「4週8閉所ステップアップ運動」「多様な働き方にむけた取り組み」「賃金体系の確立」「賃金交渉の充実」を重点活動として活動を進めます。時間外労働の上限規制が昨年4月より適用されて1年が経過しました。適用後の実態把握はもちろんのこと、労働時間の適正申告の厳密化やこれまで訴え続けてきた4週8閉所や総労働時間の短縮をさらに促進させるために、より一層の意識向上を行い、今まで以上に力強く推し進めていきます。また、私たちが建設産業に誇りを持ち、安心して働き続けるためには、賃金水準の維持・向上が必要不可欠です。建設産業で働く私たちの「あるべき賃金水準」の実現をめざし、加盟組合の皆さんと日建協とが一体となって取り組むことで、賃金交渉の充実をはかっていきます。
私たちは、日建協ビジョン2030「誰もがいつまでも働ける、誰からも誇りに思われる産業」の実現にむけ、本日、新たな執行体制で活動をスタートします。ロードマップで定めた2030年のあるべき姿をめざし、加盟組合の皆さんとより強固な連帯を築きながら、執行部一同取り組んでいきます。また、日建協は昨年度に創立70周年を迎え、今年度は新たな5年、10年先を見据えた活動が始まります。私たち建設産業を取り巻く環境は日々変化し、そのスピードは加速しています。これまで加盟組合の皆さんとともに築き上げてきた活動を継承しながら、柔軟に変化に対応し、加盟組合の一員であるあなたが輝ける建設産業をともに創り上げていきましょう。