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産業の活性化のためには、産業の魅力を向上させていくことが必要不可欠ではないでしょうか。
日建協では、建設産業の真の姿やものづくりの素晴らしさを通じて、産業の魅力を、
次代を担う若い世代に伝える活動を行っています。
今年度も建設工学を学ぶ学生を対象とした「出前講座」を開催しました。

 

日建協では2006年春、全国の大学訪問を通して学生を対象とした建設産業やゼネコンについてヒアリング調査を実施しました。
その結果、多くの学生が建設産業に対し、「談合などの悪いイメージ」「3Kの産業」など、誤解を含んだ悪い印象を持っていることがわかりました。
また、ゼネコンを就職先として考えた時のイメージについて聞いたところ、「仕事の内容がわからないのでゼネコンへの就職は望まない」との声が多くありました。
このようなことから、建設産業の真の姿を伝え、建設産業で働く素晴らしさを伝えていくことが、産業の魅力向上に不可欠と考え、日建協では2006年秋から全国の大学に出向いて出前講座を実施してきました。

10月9日、今年度最初の出前講座を、昨年に引き続き法政大学工学部都市環境デザイン工学科(出席者は3年生71名(うち女性16名))にて実施しました。
講義ではまず、日建協から、建設産業の社会的役割の高さ、創造する喜び、仕事の達成感、高度な技術力、をキーワードに、建設産業で働く素晴らしさがどういったところにあるかについて学生に伝えました。
また、現場の生の声を学生に直に伝えようとゼネコンの第一線で働いている方を講師に迎えました。法政大学出前講座では、三井住友建設社員組合の元山義之氏、ペンタユニオンの佐藤昌宏氏に講師を務めていただきました。
講師の二人には、「ライフラインチャート」(図2)を用いて、「現場が完成して喜びを味わった」「仕事が大変忙しく、転職を考えた」などの入社以来の仕事に対する充実度の変遷について話をしていただきました。
元山氏には現在従事している浄水場工事を題材に、施工管理とはどういった仕事なのかということを、現場職員の一日の仕事のタイムスケジュールに沿いながら写真を交えて説明していただきました。
佐藤氏からは技術部門における仕事を通じて、ゼネコンが進めている環境関連事業の取り組み事例などを、自社の事例を取り上げながら、語っていただきました。
お二人からは学生に向けて「数年後、ものづくりの現場で再会することを期待しています」という熱いメッセージを送っていただきました。

講義終了後には、学生との意見交換会を実施しました。席上、学生からは「入社後に配属の希望は通るのか」といった質問や、女子学生から「ゼネコンに入社したいが、女性でも働いていくことができるのか」といった質問があり、建設産業で働くことを具体的にイメージしている学生も多い印象でした。

佐藤さん(ペンタユニオン) 元山さん(三井住友建設社員組合)
米谷さん(ペンタユニオン) 熱心に講義を聞く学生

11月7日、北海道大学工学部(出席者64名(うち女性5名))において出前講座を行いました。
ペンタユニオンの米谷宏史氏を講師に迎え、現在従事している港湾の係留施設工事を通して、施設の目的や必要性に加え、高度な技術力によって現場が進められていることを現場技術者の視点で話していただきました。また、現場と技術研究所の仕事を比較して、それぞれの仕事の「達成感」や「苦労」の違いについて実体験を交えながら話していただきました。
また、当日はゼネコンの経営者の団体である、日建連(日本建設業団体連合会)の協力を頂きました。経営者側においても建設産業の魅力化については重要な課題と捉えているようです。

      

日建協出前講座に参加して 〜日建連からのメッセージ〜

私共日建連は、建設産業のイメージアップを目指した建設WEBサイト「BUILD UP!」(www.buildupper.com
の運営等、広報活動に力を入れています。
日建協さんが主催の「出前講座」は、学生に対して若手組合員が講師役となり、仕事における達成感や感動体験、時には厳しい「生の姿」を伝えています。
日建連としても、「出前講座」に協力し、盛り上げていきたいと考えています。

 
 

 日本建設業団体連合会 常務理事 木本 建二氏

 
出前講座実施後のアンケートでは「建設産業やゼネコンの仕事内容が良く理解できた」「建設産業に対して抱いていた悪いイメージが無くなった」とする声が多く、建設産業のイメージアップやゼネコンの仕事内容についての理解を得るという、活動の目的については一定の成果が得られたと考えます。
また、30%以上の学生が、「就職先としてゼネコンは考えていなかったが、選択肢の一つとして考えてみたい」(図3)と回答しました。
そして、「やりがいを見出せる仕事とはどんな仕事か」という質問には、「社会貢献できる仕事」「創造できる仕事」「達成感のある仕事」と回答する学生が多い結果となりました。建設産業はまさしく「社会貢献」でき、「創造」「達成感」のある仕事です。

一方で、学生の休日に対する意識調査(図4)においては、30%以上が「土日は必ず休みたい」と答えており、作業所における土曜閉所の実現も、産業の魅力化に必要なことであると考察します。

次代を担う若手が、建設産業に入職することで、次世代へ技術が伝承され、建設産業の継続的な発展へと繋がるのではないでしょうか。
今後も加盟組合の皆さんの力をお借りしながら、建設産業で働く魅力や本当の姿を、次代を担う若者に伝えていきたいと思います。


Compass Vol.780 一括PDF(15.6MB)
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