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労働基準法の改正


労働時間法制の見直し(労働基準法の改正)が検討されているのをご存知でしょうか?  

労働時間法制というとなんだかわかりにくく感じてしまいますが、今回のCompassでは、現行の法律と照らし合わせながら、どのような内容の見直しの検討が進んでいるのか統一土曜閉所運動リーフレット(※1)でお馴染みの(組合員)高田さん(組合本部役員)馬場さんの会話を覗いてみることにしましょう。

高田さん:
馬場さん:
労働時間に関する法律の見直しが進んでいるって本当?
そうなんだ。厚生労働省の審議会(※2)において今、議論の真っ只中にあるんだ。

高田さん:

馬場さん:
見直しと言っても、今の労働時間の法律ってそもそもどうなっているのかな?
労働時間に関する法律は「労働基準法」に定められているのは知っているよね。この法律は私たちが働くうえで最低限のルールを示したものなんだけど、労働時間に関しては「1日8時間、1週40時間」と定めてあるんだ。この時間を超えて働かせることは原則禁止されているんだけど、もし、業務上どうしても必要なときには労使協定(36協定)を締結して労働基準監督署へ届出すること、それに割増賃金の支払いが必要なんだ。

高田さん:
馬場さん:
割増賃金の支払いってどういうこと?
割増賃金は、時間外労働、法定休日労働、深夜労働の場合に支払われるんだけど、このルールも労働基準法によって割増賃金の割増率の最低基準(※3)が定められているんだ。

高田さん:
馬場さん:
その割増率が変わるの?
審議会では、長時間労働となっている人たちへの対策として、「割増賃金の割増率を引き上げることも検討してはどうか?」ということが議論されているんだ。ちなみに、諸外国の割増率(※4)は、日本より高いところが多いよね。

馬場さん:











高田さん:

馬場さん:
それに見直しのなかでもっとも大きな論点となっているのが、「自律的労働にふさわしい制度の創設」という新たな労働時間制度の仕組みが検討されていることなんだ。この制度は私たちのようなホワイトカラー労働者のうち、先ほど話した労働時間の規制にとらわれず柔軟に働くことによってより一層の能力を発揮できるようにするという考え方から、一定の年収がある人や、一定の休日(週休2日程度の休日や連続した特別休暇など)が確保されている人に、時間外労働の割増賃金の支払いなど労働時間の規制がなくなるような仕組みが検討されているんだ。「ホワイトカラーイグゼンプション」とも言って、「イグゼンプション」は「除外する」という意味から「時間外手当の対象から除外する」ということなんだ。アメリカではすでにある制度なんだけどね。
時間にとらわれず働くことがいいのかどうか・・・これは、難しい問題だね。
建設産業に適しているかどうかもよく考えてみる必要があるかもね。

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高田さん:
馬場さん:





高田さん:
職場に帰ってみんなと話してみようかな。
まだこのほかにもたくさんの内容が議論されているんだ。これまで話した見直しの内容はその一部だけど、審議会でも労使の意見が対立していて、意見調整のため議論が一時中断したこともあるんだ。今後、この内容もどうなっていくのかはっきりとはわからない状態なんだけどね。
でもこれは注目だね。また、動きがあったら教えてよ。

※1 「統一土曜閉所運動リーフレット」参照
※2 「厚生労働省労働政策審議会労働条件分科会」とは?  
労働政策審議会は、厚生労働大臣の諮問に応じて、厚生労働行政に関する重要事項などを審議し、関係行政庁に建議することを目的とした会議であり、公益代表(学識者)・労働者代表・使用者代表から構成される。労働条件分科会は、審議会の専門部会である。
※3 時間外労働の割増率は、労働基準法第37条に最低基準が規定されて います。
    「時間外労働」・・・・・・2割5分以上
    「法定休日労働」・・・・3割5分以上
    「深夜労働」・・・・・・・・2割5分以上





労働法セミナー

参加者90名 (2006.9.15)

労働法制の見直しが進むなか、労働時間・休日に関する基礎知識や、労働時間法制等の動向と問題点について、日建協の顧問弁護士である山内弁護士を講師に迎え労働法セミナーを開催しました。特に労働時間法制の動向と問題点については、ホワイトカラーイグゼンプションを中心に、アメリカにおける同制度の実態や厚生労働省労働政策審議会労働条件分科会の資料を交えての説明がされ、参加者の皆さんも興味深く聴講されていました。  
参加者からは「基礎的な事項の再確認ができて良かった。」「ホワイトカラーイグゼンプションについて理解できた。」との声が聞かれ、大変好評でした。  
また、ホワイトカラーイグゼンプションについては、もっとくわしく聞きたいとの意見も多く、この労働時間法制の動向が大いに注目されていることがうかがえました。日建協では今後も引き続き分科会の議論の動向など最新情報を、皆さんに伝えていきたいと思います。



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