建設産業の新たなステージへ 本文へジャンプ
〜11月は時短推進強化月間〜

建設業は休みも少なく労働時間が多くて大変といわれて、この業界の魅力が薄れかけています。今回のCompass「時短特集記事」では、日建協時短アンケート※1の結果を通し私たちの労働時間を確認したのち、日建協の時短活動について触れてみたいと思います。

残業時間は、建築90時間、 土木80時間に!
アンケートの結果、月あたりの平均残業時間は過去最高となり、土木作業所で約80時間、建築作業所では90時間以上ということがわかりました。2003年より急激な右肩上がりになっていることから、未だ増え続けていることにも注目できます。
【図1 11月の残業時間推移】



こんなに残業しているんだ?!
11月のカレンダーを使ってモデルケースを作ってみました(図2)。平日は朝8時に朝礼を始め、5時に職人さんが帰り、2時間書類をやって7時に帰る。土曜日は5時ピッタリで帰ったとします。11月は祝日が2日あるとはいえ、それだけで残業時間は建築外勤の平均であった92時間になります。この設定では、作業所の皆さんは「そんなに早く帰れる作業所あるわけがない!」と違和感を覚えるかも知れません。そう考えると労働安全衛生法の改正で医師の面談が必要とされるようになった「残業100時間」(脳・心臓疾患の発症の関連性が強いとされる時間)を越える作業所も少なくないかもしれません。これは非常に危険なことです。


              【図2 残業時間の例】

このページのトップへ

やっぱり休日取得
組合員は時短を推進していく上で何を望んでいるのでしょうか。アンケート結果によると、平日の残業時間よりも、代休、土休、年末・夏季などの休日取得を望む声が多く上がっています。また、建設業ならではの「異動時休暇制度の充実」という声も多くあります。


家族からの声
他の調査で加盟組合員のご家族からこんな声をいただきました。
「日建協家計調査より 現場に出るとほとんど休みがありません。せめて、月2回は土曜日休めるよう呼びかけてください。 」
日建協家計調査より


日建協の取り組み、統一土曜閉所運動と休日取得推進
日建協では、このような労働実態をふまえて、時短推進活動に取り組んでいます。今年度の主な取り組みは、年2回の「統一土曜閉所運動の強化」と作業所異動時休暇を中心とした「休日取得推進の強化」です。


土曜閉所率51%
【図3 2006年6月統一土曜閉所結果】
過去4年間、閉所して「心と体の休日」を作ろう、そして「休むことの大切さに気付こう」という統一土曜閉所運動に取り組んできました。今年6月は、いつもより早めの取り組みを行った結果、はじめて半分以上の作業所で閉所することが出来ました(図3)。「早めの取り組み」と「上司の通達」が役立ったところが多かったようです。

このページのトップへ

今年の取り組み、『異動時休暇』
日建協では更なる休日取得を目指し、今年は異動時休暇の取得を強く働きかけています。現状、年末年始、GW、夏季以外、工期中はなかなか休めていない作業所ですが、完成した後には数日まとまった休みが欲しいですね。異動時に休めている加盟組合からは、「制度がある」ことはもちろんですが、「異動前の作業所で休む」「自分がいつ・どれだけ休めるかを、十分前もって知っている」「会社からの通達」等が大事だという意見が聞かれています。


思い切って休みましょう
日建協では会社訪問の機会に、各社の経営者に「休日を取得しやすい環境の整備」を訴えています。会社側も「長時間労働」には危機感を持っており、なんとか休ませたいと思っています。「休むこと」は後ろめたいものではありません。当然の権利です。あとは皆さんが「休みます」と、はっきり言うだけです。もうすぐお正月、今年はいつもよりちょっと長めの休みに挑戦してみませんか。

※1 時短アンケートとは?

毎年11月に組合員の25%(約1万人)にご協力いただいています。労働時間、休日取得状況、時短推進活動などのデータを収集し、建設産業の労働実態の現状を的確に表す貴重なものです。日建協では厚生労働省、国土交通省、業界団体、加盟組合企業経営者に向かって労働状況を伝えていくために使用しています。今年もぜひ私たちの労働条件向上のためにご協力をお願いします。

●このページのトップへ

Compass Vol.769 一括PDFはこちら


◆ホーム◆Compassバックナンバー
   Compass769