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みなさん、点字の表示がある名刺や出版物を手にしたことはありませんか?
日建協活動のなかで、点字表示のある名刺を、行政や他産業の労働組合との名刺交換の際にいただくことがあります。高田馬場にある日建協本部の近くの交差点も「点字図書館南」という名称で、日建協にきてから点字に興味を持ち始めました。
調べてみると、近くにあるのは『日本点字図書館』で、日本最大級の民間の点字図書館だそうです。これも何かの縁、お休みを利用して行ってきました。


日建協 副議長
竹田 大三

▲日本点字図書館エントランス

▲感触で色を判別

▲カードには点字シール

▲浮き出る絵

▲点字器具がいっぱい

一風変わった外観の建物を入ると、何やら見慣れない器具がずらり。点字に関する本や点字器、なかには浮き出る絵が描ける紙もあり、どれを見ても初めてのものばかり。点字に関する本を眺めているうちに、実際に点字を学んでみたくなってきました。
「点字を学べる講習会とかありますか?建設関係で働く者ですけど、興味があって・・・」
おそるおそる事務の方に尋ねてみると、点字図書館では講習会等は催していないとの事。ただ、建設関係ということもあり、同図書館のユニバーサルデザイン推進室の方をご紹介いただくことになりました。

「多くの方に点字を知ってもらいたい。建設関係の方は、サイン表示・点字ブロック・手すりなど、直接関わる仕事をされているので、是非に。JIS規格でも細かく決まっていて、実際に規格づくりにも関与しています。」そうお話しいただいたのは点字制作課の和田課長。手すりの点字表示が逆さになっていたり、街区案内図の点字表示が横に長過ぎて指で追えないこともあるそうです。
点字の他に、ユニバーサルデザインにもいろいろあって、牛乳パックの縁が欠けていたり、シャンプーとリンスの容器形状が区別されていたり。普段何気なく使っている物にも、いろんな工夫があるんですね。

▲印があるのは牛乳パックだけ。
 後方はオレンジシュース。

▲触った感じが異なるように工夫された容器。
 印がある方がシャンプー。

他にも興味深い話がたくさんありましたが、その日は初心者むけの教材をご紹介いただき、自宅で点字を学んでみることにしました。

点字の歴史は古く、今から185年ほど前にフランス人のルイ・ブライユが6点点字法を考案し、その方法が今でも使われているそうです。ここでは、いくつか簡単に、点字のルールを紹介します。

・点字に対して、印刷された文字は「墨字」と呼ぶ
・墨字を点字に直すことを「点訳」という
・文節や単語は区切って分かち書き
・「おとうさん(お父さん)」のように、「とー」と読む「とう」は「とー」と表記
・読むのは左から右。書くのは右から左?・・・。
ルールは他にもありますが、まずは実践。教材を手に、大好きな童話『三びきの子ぶた』の点訳にチャレンジ。

作業を開始してまず発見。点字は裏から針で押すから「右から書く」んです。はじめは、そんなところでつまづきながらも、点字一覧表と墨字を見比べて格闘すること3時間。A4一枚(1600字)程の量を点訳して、B5判の紙で8枚(1行空け)の点訳を完成させました。最初は1枚40分かかりましたが、最後は点字一覧表も見ずに、20分で書けるようになりました。

▲使用した道具一式:
点字器 1,150円
点訳のしおり 550円
点字テキストパック 1,260円
用紙 260円 絵本の題材

▲右から左に書く

▲裏返して凸面を読み直してチェック。助詞の「は」は「わ」と書くんです。

最近まちを歩いていて思うことがあります。どんなところに点字表示があり、必要なものが必要なところにあるのか。そして、誰もが安心して歩くことができる安全な街や建物になっているのか。点字を学んだことをきっかけに、自分の考え方が少し変わってきたような気がします。

▲点字表示を施した名刺。
ちなみに左から右に にっけんきょー
         たけだ だいぞー
         でんわ ばんごー
         03-5285-3870
と書いてあります。

▲JR高田馬場駅の手すりに表示された点字。

後日聞いた話によると、JR高田馬場駅東側一帯は、1970年全国で初めて「交通安全モデル地区」に指定され、点字ブロックを中心に安全施設づくりが行われたそうです。最近ではJR山手線の駅のホームにもホームドアが設置され、安全対策も向上してきています。しかし、まだまだユニバーサルデザインや、安全・安心なまちづくりについて、やるべきことはたくさんあるように感じます。

わたしたちは建設産業で働く者。仕事をつうじて、もっともっと、みんなのお役に立ちたいものですね。
最後にCompassをご愛読のみなさんに、ひと言、「点字」でご挨拶させていただきます。

            ↓

▲日建協本部前の歩道にて

※上の点字(↑)の読みのヒントは文中にあります。

 点字を勉強できるサイトや、点字図書館の詳しい情報は↓

◎記事で紹介している 社会福祉法人 日本点字図書館 のホームページはこちら。
  http://www.nittento.or.jp/

◎点字の読み方を知りたい方はこちら。五十音すべての表記方法がわかります。
 点字のしくみ(特定非営利法人 全国視覚障害者情報提供施設協会)
  http://www.naiiv.net/braille/?tenji-sikumi

◎読み方がわかってきたら、チャレンジしてみましょう。クイズ形式で楽しく学べます。
 ひとりで学べるたのしい点字(特定非営利法人 全国視覚障害者情報提供施設協会)
  http://www.tenji-naiiv.net/

◎点字で書いてみたい方はこちら。
 点字を学習できる学習教材などを紹介。(社会福祉法人 日本点字図書館)
  http://yougu.nittento.or.jp/category325_80.html

◎仕事で関わる事が多い点字ブロックの歴史。(財団法人 安全交通試験研究センター)
 http://www.tsrc.or.jp/4/4_8/4_8.html


Compass Vol.789 一括PDF(10.3MB)

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